テクニカルライブラリーコラム

解析屋が見た損失評価

はじめに・第1話:損失の分類 [ 2015-05-25 (月)]

損失解析はむずかしい。こんなに難しいとは思わなかった。

JMAGが鉄損計算のツールLSをリリースしたのは1999年。それから遡ること数年、あるユーザーからJMAGの結果を使って損失計算をしていることを聞きました。そのころは着磁やインダクタンスの計算の議論が盛り上がっている頃で、損失計算と聞いても大した注意を払わずにいました。言い訳になりますが、電磁界解析のコミュニティで損失が大きく取り上げられるのは2000年以降で、私が特別に間抜けだったわけではありません。普通に間抜けだっただけです。

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第2話:鉄損を計算してみる [ 2015-05-26 (火)]

さて、まず、鉄損についてです。
今も昔も解析ニーズは高く、最初に機能リクエストを受けたのも鉄損でした。第1話の分類のとおり鉄損は3つに分類できるのですが、まずは鉄損の計算方法を見てみたいと思います。
「それぞれについて見なくても良いのか?」ですか。
はい、良いと思います。そんなことを知らなくても鉄損は計算できてしまいます。まあ、こういう態度が過ぎて大きなシッペ返しを受けるのですが、その話は後程。

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第3話:損失の分離、そして鉄損計算ツールリリース [ 2015-05-27 (水)]

鉄損は計算できたのですが、モータ屋さんはこれでは満足してくれません。こう聞かれます;"ヒステリシス損失はどのくらい?"、"渦電流損失は?"。正しい質問です。発生原因の異なる損失に分離できれば対策がしやすくなりますから。

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第4話:ヒステリシス損失計算の精度を上げよう! [ 2015-05-28 (木)]

鉄損計算ツールを1999年にリリースした当時は、飛ぶように売れる、ような状態ではありませんでした。ユーザーの反応はいま一つ。"本当に精度が出るんですか?"という疑念に満ちた目で私を見ます。でも、私は気にしません。というのは、上で述べた方法は電気設計では伝統的な方法であり、多くのメーカで使われていた方法であることを知っていたからです。伝統的な方法ではモータ各部の代表値を使って損失を計算するのに対して、JMAGでは各要素にまで分解にして丁寧に計算しています。JMAGの方が良いに決まっています。

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第4話補足:アルゴリズム2について [ 2015-06-05 (金)]

第4話でお話ししたアルゴリズム2の説明について、よくわからん、というコメントをいただきましたので、補足を試みたいと思います。
アルゴリズム2はヒステリシス損失計算の精度を向上させるためのものでした。それでは、渦電流損失はどうなっているのか?というのがご質問のポイントでした。

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第5話:損失解析への関心の高まり [ 2015-05-29 (金)]

損失解析に関する解析技術の論文が2000年頃から急速に増えていくのですが、当然、世の中に論文が現れる前には研究・執筆・レビュー期間があって、その前に、技術に対する要請があるわけです。それはやはり、1997〜8年頃だったのではないかと思います。これは永久磁石モータ、特に、IPMモータの広まりと同期していたと思います。損失解析からは少々離れますが、永久磁石モータについて解析ニーズについて簡単に振り返ってみたいと思います。

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第6話:実機との比較 [ 2015-06-22 (月)]

損失解析の機運が高まり、解析事例が増えてくると、合った合わないの話も増えてきます、実測や、経験や、期待と比べて。ある論文を読むと、実測同様の予測ができるとあり、ある人に聞けば時間の無駄と言われ、というような毀誉褒貶相半ばする状態になってきました。このような背景の中で、電気学会の調査専門委員会 (「回転機の三次元電磁界解析高度化調査専門委員会」、1999年4月〜2001年3月)でベンチマークモデルを設定して解析と実測を比較しよう、ということになりました。モータの詳細仕様はもちろんのこと、材料特性から加工方法までつまびらかにしたうえで、複数の大学、それぞれの方法で損失を計算し、比較し、検討します。

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第7話:本当にどこまでできるのか? [ 2015-06-23 (火)]

昨日お話しした通り、調査専門委員会でのベンチマークモデルによる検討によれば、無負荷状態については材料特性をしっかり把握していれば、従来の鉄損解析の方法で良い結果が得られることがわかりました。人類にとって大きな一歩です。しかし、無負荷状態というのは実用的に考えた場合、少々厳しい制約条件になってしまいます。必要なのは運転時、それも最近では電流をじゃぶじゃぶと流した時の損失や効率ですから。電流が投入されて波形が歪んでいくのが目に見えそうです。そこに強烈な磁石の磁界が加わり、さらに歪みます。スロット高調波が乱舞して正弦波など見る影もなく破壊されていく様子が目に浮かびます。これまでお話しした通り従来の鉄損解析手法は磁束密度の正弦波波形を仮定しているので、そんなめちゃめちゃな波形では有効に働くはずがない、、、実際、周囲の人たちに相談したのですが、"そりゃ駄目でしょう"という返事ばかり、皆さん論理的で冷静です。

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第8話:なぜ合うんだろう? [ 2015-06-24 (水)]

晴海1号での検討によって負荷時であっても損失が予測可能であることを示すことができました。損失解析を行うユーザーも増えてきて、合う合わないの大雑把な議論から、精度何%への議論になってきました。昨日まで損失解析なんか信用できん、と言っていた人が今日は、5%未満の精度が必要だ、と言います。なんてフレキシブルな人。
精度を追求するためには、何が起こっているか理解しないといけません。晴海1号プロジェクトはどのくらい合わないか、問題を白日の下に引きずり出すことが目的だったのですが、"残念"なことに測定とよく一致してしまい引きずり出すことに"失敗"しました。それでは、なぜよく一致したのでしょうか?それについて考える必要があります。

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第9話:新しい鉄損モデル (アルゴリズム3登場) [ 2015-06-29 (月)]

今回は新しい鉄損モデルのお話です。ヒステリシス損失用のプレイヒステロン (以下プレイモデル)と渦電流損失用の均質化法です。それぞれ全く異なるモデルですが、損失発生のメカニズムを内蔵し、従来の鉄損特性データには依存せず、動作域に制限がない点で共通しています。早速始めましょう。

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第10話:新しい鉄損モデルを使ってみる [ 2015-06-29 (月)]

今回はアルゴリズム3を使ったモータの鉄損計算を見てみたいと思います。
最初はSRモータです。モータの外観および仕様はそれぞれ図37と表4の通りです。また、それぞれの鉄損計算で使った材料特性データを表5と図38にまとめておきます。

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第11話:漂遊負荷損をつきとめる [ 2015-07-01 (水)]

漂遊負荷損とは、全損失から鉄損など素性の確かな損失を差し引いた残りの損失ですので、言い換えれば、素性の怪しい損失、とも言えます。そうは言っても損失を生じる電磁界の現象はそれほどなく渦電流による損失が殆どを占めるようです。問題は発生する場所が"漂遊"していることです。導体が変動する磁界に触れれば渦電流が発生しますので、機器内のあらゆる箇所に漂遊負荷損は発生する可能性があります。典型的な例としては、モータのプレスリング、ケース、コア端部など、広い意味では希土類磁石の渦電流損失やコイルの循環電流も漂遊負荷損になります。

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第12話:加工・組み立ての影響、そして異常渦電流損失について [ 2015-07-03 (金)]

このコラムも終わりが近づいてきました。残された話題は技術的に未解決のものばかりです。気は重くとも損失は発生しています。勇気を振り絞って課題についてまとめたいと思います。

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第13話:次世代セミナーへようこそ [ 2015-07-03 (金)]

当コラムも今回で一旦中締めとしたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました。
来週行われる第6回次世代の電磁界解析セミナー〜モータの高精度損失解析の実務への展開 続報〜へのイントロダクションとして、損失解析について簡単な解説をしよう、というのが当初の企画意図でした。イントロダクションとしての役割が十分に果たせたか、と問われると甚だ自信がありません。というのも、書いているうちに、きちんと説明できないことにぶつかることも少なくなく、その都度教科書と論文に戻って勉強のやり直しだったからです。私にとってはとても良い勉強になったのですが、皆さんのお役に少しでも立てたのか不安が残ります。

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第13話-2:次世代セミナー参加御礼 [ 2015-07-08 (水)]

昨日の次世代セミナーにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。そして大変お疲れ様でした。 講師の先生方も興味深いお話をいただきありがとうございました。

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参考文献

コラム中の参考文献をまとめています。



解析屋が見た損失評価 夏休み補講編

補講第1回:アルゴリズム1とアルゴリズム2の比較 [ 2015-07-29 (水)]

最初は第4話補足の図17についてです。そこでは損失解析の2つのアルゴリズムを使って、リングコアの損失を磁束密度波形が正弦波の場合と台形波の場合について計算してみました。この比較結果をどう理解すればよいか?という問い合わせをいただきました。これについて考えてみましょう。

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補講第2回:アルゴリズム3を理解する (1) [ 2015-07-30 (木)]

第9話と第10話でアルゴリズム3を紹介しました。マイナーループも表皮効果も考慮できる最新の手法です。 ただ、アルゴリズム1やアルゴリズム2などの従来法も一定の条件下では良い結果を与えてくれることを実例を通して見てきました(第6話の図19や第7話の図21など)。 ですので、アルゴリズム3がいくら最新の方法とはいえ、その結果が従来法のそれと著しい違いがあると心配になってしまいます。 実際、第9話の図36(アルゴリズム1、2、3の比較)を見て"ギョッとした"という声がいくつかありましたので、今日と明日はそれについて説明したいと思います。

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補講第3回:アルゴリズム3を理解する (2) [ 2015-07-31 (金)]

昨日までの疑問点は良く理解できたでしょうか?単純なリングコアのモデルですが現象はそれほど単純ではありません。 損失解析は侮れません。では、引き続き、残りの疑問点の解消に向かいましょう。

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補講第4回(夏休みの宿題):プレイモデルを理解しよう!

●プレイモデル攻略

(01):プレイモデルを理解しよう! [ 2015-08-24 (月)]

(02):ヒステロンを重ねてみる [ 2015-08-24 (月)]

さて、今回のお題はプレイモデルです。プレイモデルは新しい損失解析手法としてアルゴリズム3においてヒステリシス損失計算を担っています。プレイモデルがマイナーループを再現できることや、入力としてメジャーループ群が必要なことは述べましたが、そのメカニズムについてはこのコラムではスキップしていました。このメカニズムは少々込み入っていて理解するのに根性がいること、また、利用においては必ずしも内部メカニズムを理解しなくても良いだろうと考えたためです。しかし、先日の次世代セミナーで松尾先生のプレイモデルについてのレクチャーを受けた方々から、もう少し勉強したい、とのコメントをいただきましたので、意を決してこのコラムでの説明を試みたいと思います。

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(03):登場、"形状関数" [ 2015-08-25 (火)]

(04):形状関数に表現力を! [ 2015-08-25 (火)]

ヒステロンを重ねることで"メジャーループ"や"マイナーループ"みたいなものが作れることがわかりました。 しかし、良く見ると、そこには材料特性が反映されていません。 唯一、飽和磁界Hsが使われていますが、これはpの動作範囲を規定しているだけで、出力となるBには影響を与えません。 ヒステロンの定義式(式S4.1)を見ると、ヒステロンはHの次元を持っていて、位相差(±e)はあるものの、相変わらずHのようなものであることがわかります。 これではHBを関係付ける磁化モデルとして使い物になりませんから、pBに変換する必要があります。

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(05):形状関数の同定、でもその前に [ 2015-08-26 (水)]

(06):同定のためのメジャーループ群 [ 2015-08-26 (水)]

それでは、形状関数をどのように決めていくか見ていきます。ただ、これまで、ヒステロンだの形状関数だの、物理的な意味合いが希薄になっていますので、ここで少し物理的なイメージを取り戻しにいきましょう。そのために、思い切ってeがゼロのヒステロン、つまりp0だけのモデルを考えましょう。この場合、入力と出力Bの関係を表す式(S4.6)は次のようになります。

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(07):同定作業開始! [ 2015-08-27 (木)]

(08):プレイモデルまとめ [ 2015-08-27 (木)]

いよいよ同定をしてみましょう。この手順は面倒ですが、実際にはソフトウェアがやってくれますので心配しないでください。ただ、プレイモデルの仕組みを理解するためには一度具体的にやっておくことはとても大事です。今日もたくさん手を動かしましょう。

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●プライザッハモデルとの関係について

(09):プライザッハモデルの原理 [ 2015-09-01 (火)]

(10):Hu-Hvグラフで考える [ 2015-09-01 (火)]

プレイモデルでもう十分、お腹いっぱい、もう食べられません、という人もいるかもしれませんが、ここはなんとしてももうひと頑張りしていただきたいと思います。というのは、プレイモデルの解説や議論はプライザッハモデルを基にされることが多く、殆どの、もっと言えば私が知る限りの全ての解説はプライザッハモデルの理解を前提にされており、それらの文献で勉強したり、議論に参加する際にプライザッハモデルの理解は大事なのです。プレイモデルはプライザッハモデルと数学的には等価であり、プライザッハモデルの方が物理的なイメージを与えやすく歴史もあることなどから、プライザッハモデルを基礎としたプレイモデルの説明が主流になっているのだと思います。

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(11):分布関数の導入と磁化総量の計算 [ 2015-09-02 (水)]

前回のお話で、プライザッハモデルが磁化反転のタイミングが異なる磁気モーメントの集合で表現されていること、その磁気モーメントの様子を把握するためにHu-Hvグラフが使われること、を説明しました。今回はそれらを使って磁化を計算できるようにし、プライザッハモデルを完成させましょう。

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(12):Kを材料特性から同定する方法 [ 2015-09-03 (木)]

とにかく、式S4.23によってBが計算できてメデタシメデタシなのですが、Kがわからないと具体的な計算ができません。前回の練習問題ではKを1と0にしてしまいましたが、実際には、材料特性からKを同定することになります。つまり、Kが材料特性を持ちます。ということで、同定方法の基本的な考え方を説明しましょう。

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(13):プライザッハモデルとプレイモデル(上) [ 2015-09-09(水)]

前回の最後で"本番はこれからだ!"とすごんで見せましたが、すみません、言い過ぎました。それ程大層な話ではありません。ただ、プレイモデルとプライザッハモデルの関係について述べることがプライザッハモデルに踏み込んだ目的でしたから、それを忘れるわけにはいきません。
冒頭でもお話しした通り、プレイモデルの説明はプライザッハモデルを基にして行われることが多く、それがとても重要なのにも関わらず、多くの解説では非常にあっさりと天才的に書かれており、凡才で"数式"よりも"絵"、"厳密性"よりも"肌感"を好む私は 、それを理解するためにのたうち回るような苦しみを味わいました。私も極めて平均的な日本人ですので、同様の性向を持つ人もいないとも限らず、そういう人たちにとって、もう少し別の説明があっても邪魔にはならないだろうと思い、ここではそれにチャレンジしてみたいと思います。

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(13):プレイモデルの動き、プライザッハモデルの動き(下) [ 2015-09-10(木)]

前回はHu-Hvグラフ上にヒステロンを描きp-eグラフを導入しました。今回はその動きを見てみましょう。 準備としてHHsを通るメジャーループに乗せ-Hsに持ってきます。ここをスタートポイントにします。ここからH-Hs→+Hs→0→+Hsと動かします。この時の各ヒステロンの動きと値をそれぞれ図S4.34と表S4.7に示します。ここまでは復習です。新しいことは何もありません。わからん、という人はお問い合わせください。さて、表S4.7のヒステロンの動きを上で準備したp-eグラフの上に描くと図S4.35のようになります。ふーん、という感じですが、とりあえず、これはこれで置いておきましょう。後で戻ってきます。

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質疑応答  更新

コラムの内容についてお寄せいただいたご質問などを掲載しています。
その他ご不明な点は、質疑応答ページ文末の「筆者へのコメント」フォームにお寄せください。

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TECHNO-FRONTIER モータ技術展

第1回:出展にあたり 2015-04-30 (木)

モータ技術展まで1ヶ月を切りました。
私の周りでも準備が急ピッチで進められています。
今年のブースでは今まで以上に、ユーザーの方々をはじめ来場者の皆さんとJMAGまたは電磁界解析について、ゆっくりとお話をさせていただきたいと思います。

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第2回:お気に入り最新機能 2015-05-01 (月)

いよいよ明日からは連休のコア日程に入りますね。こんな記事読んでる場合じゃない、という方、焦ってはいけません。心に余裕を持ちましょう。
今日は、新しいバージョンについて、少しだけお話をさせてください。

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第3回:ヨーロッパの展示会 2015-05-05 (火)

連休真っ只中で恐らく誰もこのコラムをリアルタイムで読むことはないだろうと思いつつ、それでも、誰か一人くらいこのページに迷い混んでしまう可能性にかけて筆をとりました。書いている私も健気ですが、読んでいるあなたも素晴らしい!あなたが日本を支えているんです。誰かご褒美を・・・!
さてさて、皆さんは連休をいかがお過ごしでしょうか?
誰も聞かないので自分から言いますが、私は長野に帰省しております。今年の長野はいつになく賑わっています。長野と言えば善光寺、その善光寺の7年に1回の御開帳が開かれているんです。私も行って参りました。ただ、その話をするためにこのタイミングでコラムを更新しているわけではありません。皆さんに今お届けしたいことがあります。

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最終回:Inside JMAG-Express 2015-05-07 (木)

カレンダーの上では連休も終わり、今日からお仕事という人も多いと思います。はい、私もオフィスに戻ってまいりました。今朝の東京晴海の天気はお休み中とは変わり、曇天で少し雨がぱらついていますが、仕事を再始動するにあたり思考を巡らせるには良い天気かもしれません。
TF展では、JMAGはモータ技術展というエリアに出展します。ということで、今日はJMAGのモータ設計ツールJMAG-Expressに触れたいと思います。

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