コラム:解析屋が見た損失評価

2015-5-25 2015-5-30

解析屋が見た損失評価

山田 隆

はじめに

 損失解析はむずかしい。こんなに難しいとは思わなかった。

 JMAGが鉄損計算のツールLSをリリースしたのは1999年。それから遡ること数年、あるユーザからJMAGの結果を使って損失計算をしていることを聞きました。そのころは着磁やインダクタンスの計算の議論が盛り上がっている頃で、損失計算と聞いても大した注意を払わずにいました。言い訳になりますが、電磁界解析のコミュニティで損失が大きく取り上げられるのは2000年以降で、私が特別に間抜けだったわけではありません。普通に間抜けだっただけです。

 とにかく、1998年頃から損失解析のニーズが増え始め、損失計算ツールを作ったわけです。作り始める時にいろいろと調べてみると、マイクロマグネティックスのように材料の中のミクロな挙動を扱う必要はなく、磁界解析で得られた磁束密度があれば、あとは、損失データという魔法のデータがあってそれに割り付ければよい、ということがわかりました。

 簡単!実際、上述のユーザも同様のことをやっているとのこと。それでは作りましょうとあいなりました。折角ですから、ここでもう少し丁寧に何をやったか説明をしたいと思います。そんなこと知っているから読むだけ無駄、というかたは7月7日のセミナーまでお待ちください。 それでは、早速言葉の定義からはじめましょう。

第1話:損失の分類

 計算方法の具体的な説明に入る前に、損失を一般的な方法で分類して、ここで使う言葉の整理をしておきたいと思います。

 損失は大きく分けて、コアに発生する鉄損、コイル巻線(誘導機の場合は二次導体も含む)に発生する銅損、そして、摩擦や空気抵抗に起因する機械損に分類できます<1>。さらに、負荷によって導体、鉄に生じる損失のうち鉄損、銅損に含まれないものを漂遊負荷損と呼びます<2>。これらを図1にまとめました。

図1 損失の分類

図1 損失の分類

 さらに鉄損はヒステリシス損失、渦電流損失および異常渦電流損失の3つに分類されます。またここでは、漂遊負荷損の内、永久磁石に発生する損失を磁石損失として分類します。それぞれの物理的な意味合いについては追って説明を加えていきたいと思います。
ちなみに、ヒステリシス損失は"ヒス損(ひすそん)"、渦電流損失は"渦損(うずそん)"という短縮形が使われることがありますが中身は同じです。うろたえないでください。
 明日は、第2話:鉄損を計算してみるです。次回もお楽しみに。

筆者へのコメント

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